デジタルzin!ポエジン『宇宙塵』/即興詩人・AI UEOKA

即興詩人・AI UEOKAによるデジタルzin! 雑多な芸術・らくがき日記。

「白い影」 クラリネットが植物であること

f:id:macromoai:20200323063921j:plain

「この3次元において、純粋な2次元物質は『影』のみである」

この科学的な事実を、よく即興で引用するのですが……最近は「影」=「記憶」とか「心」みたいなものかな? と、詩的解釈として、自分の中で定義付けをしていて。

f:id:macromoai:20200321181510j:plain

で、「影」=「記憶」ならば、より強い日差しを浴びれば影は濃くなるし、夜道を歩けば外灯の光によって、影が二人や三人に別れたりもする。

その影は、僕が歩くごとに遠ざかったり、僕のまわりでぐるぐると回ったり。

f:id:macromoai:20200321181514j:plain

晴れた夏の正午

 

アスファルトに映る自分の「影」をじっと見つめる。


青い空を見上げる。


空に「白い影」が浮かび上がる。


そんな視覚の錯覚を利用した遊び

 

かげおくり」。


子供の遊びですが、たまたま友達に僕がそれ教えてもらったのは、大人になってからでした。

f:id:macromoai:20200321181515j:plain

いきなり子供の頃の記憶に気持ちを切り換えられるように、心の世界には時空の制約もなく、過去にも未来にも好きにその瞬間に行ける。

なぜそれができるのか? 

と言ったら、心の世界=「影の世界」には、「音」がないからだろうなぁと思っていて。それは、空気を振るわせて響く3次元的な「音」がないという意味。

f:id:macromoai:20200321181518j:plain

僕らが日々体感している「時間」は、素粒子が運動してはじめて生まれるものであり、「音楽」は、音という振動を粒子をリレーさせてつなぐ「時間」という「曲」みたいなものだから。

夢の中で聴く音は、空気が振るえ鳴っているわけでもなく、記憶が鳴らす、ゆらぎ無き音楽。

f:id:macromoai:20200321181516j:plain

先日、植物のような透明感を持ったクラリネット奏者の方と出会いました。
その方は、植物の中に流れる風のような血液を、心の世界で音に換えたかのような響きで、クラリネットを奏でてくださいました。

f:id:macromoai:20200321181517j:plain

今回形にさせていただいた曲、『白い影』も、偶然出会って数十分後のコラボレーションでしたが、僕が忘れ、求めていた「白い影」と出会ったかのような、そんな音に成ることができたのでした。

f:id:macromoai:20200321181512j:plain

酸素を身体に巡らせながら言葉で思考をつなぐわたしたちは、植物と常にオンラインだと思っています。

もちろんそれは、あらゆる動植物だけでなく、あらゆるつながりを持った生態系としてのエコロジー

それは、木々の葉が紙に化け、言の葉を広げ、世界に想いをつないでいったかのような自然な円環かと、個人的には思っています。

f:id:macromoai:20200321181519j:plain

クラリネットが、そもそも木でできていることさえ知らなかった相変わらずな僕は、昨晩、いろいろなことがつながったんだなぁと想いました。

自分が自分に課していた「白さ」、その「白い影」と再び重なり合うような、普遍的な美しい響きに出会うことができたのでした。 

f:id:macromoai:20200323063921j:plain

 

 「白い影」

 

 

息遣いがかすれて

跳ね返る

 

樹木の

おが屑の

ような

 

波立ち

泡立ち

浮上する

それは

 

本当に

 

純白に向かって

求めていいんだから

 

そこに戻っていいんだよ

 

 そこに戻っていいんだよ

 

 

僕たちは

自分自身の

 

自分が決めた

自分の白さに

白い影に

 

身体の輪郭を

合わせて

 

そうして

まっすぐ

歩いていいし

 

そうして

まっすぐ

立ってもいいし

 

クラリネットのように

音を出して

 

自分の歩いてきた

大地に

 

音を吸わせて

 

その反射で

白い花を

 

咲かせればいい

 

 

 

P