天才と呼ばれたくないひと・須藤琢
僕には、小説において、いや創作全般において師匠的な懐の深さを示してくれるひとがいる。
須藤琢さん。
僕の小説『胡蝶の舟』を、展示会用に大幅にリライトした際に、大変お世話になった方でもある。
一緒に物語に入り込み、客観的な視点で推敲をしてくれたのだが、僕では到底たどり着くことの出来ないエンターテイメントの大切な要素を、僕に伝授してくれながらの作業となった。
「物を書く時、物語を構築するときは、書き手は手間を惜しまない方がいいよ。安易な展開や描写を選ぶのではなく」
というような、言い辛いであろうことも正直に伝えてくれる、真摯なひとだ。
須藤さんもまた、僕の周りにいる『天才』の一人だと思う。
しかし須藤さんはその呼び方を嫌う。照れもあるだろうが、本質的には『努力のひと』というスタンスでありたいのだと言う。
そんな須藤さんの作品は、どれも表面がやわらなか質感を持っているように思う。入りやすいのだ。
しかし、その表面のやわらかさに誘われ、入り込もうものなら、どこまでも自由に、自分のペース入って行ける深みが用意されているのだ。
それが須藤さんの提供する、エンターテイメントの真髄のように思う。
須藤さんはもともと漫画家を目指していた時期があり(上のイラストも彼の作品)、今は他の創作も行っている。
『Tightsman(タイツマン)』という彼らしい名義で、『MIXCLOUD』というサイトで、DJ−MIXの音源も展開している。
須藤さんのMIXは一般的なMIXとは違う。現行の曲を、『素材』として扱い、曲を何種類も重ね合わせることで大きな曲を成り立たせる、そんな創り込みをみせている。時にはアンビエントに民謡を重ねたり、テクノとパンクを融合させたりもする。
ぜひ! 聴いてみてください!
こちらから→★★★