君がラブソングに見えた
愛が先に
在るが故に
恋が結ばれないなら
わたしはそれを
幸いと呼ぶだろう
さよならの残響
その歪みに塗れるくらいならば
ふたりの恋の瘡蓋を
あなたに切り裂かれ
膿を吐き出すことを選ぶだろう
あなたは愛在るが故に
その儀式に寄り添ってくれる
わたしたちは
愛憎のヘドロを
過去という不変の水面に浮かべ
見渡したのちに歩き出す
ふたり
少し上流に立つことができたら
そこで同時に振り返り
常夏の西日を
昨日に当て
ヘドロの水面を
虹色に輝く
氷河の丘に換える
輝く色彩
それらは
ふたりの愛し方
二人がともに出会った花々
膿もヘドロも血も肉も涙も
すべてを花に換えて
分岐する川を
別の枝を選ぶが
ふたり抱えた花々が
同じ川の水で描かれていることが
ふたりの誇りとなり
そういう花束の編み方を
ふたりが選ぶからこその
「残像」即興ピアノ演奏&詩の朗読/詩人・AI UEOKA ポエミュージック『アルバム・そりゅうしのうた』先行公開版 street piano&poetry reading