デジタルzin!ポエジン『宇宙塵』/即興詩人・AI UEOKA

即興詩人・AI UEOKAによるデジタルzin! 雑多な芸術・らくがき日記。

小さな本工房・鴫原さん


先日の土曜・日曜、縁あって「小さな本工房」鴫原さんのお手伝いで、本八幡で行われたクラフトフェア「工房からの風」にてお店番をしました。

今回の展示会で、
「自分はプロに成り得るか?」ということを
命題に置いていた鴫原さん。


開催前のものすごい作業量も去ることながら、
開催中、一回も食事もせず、トイレにもいかず、
ずっと立ち続け、笑顔を絶やさず接客し、
「プロだから最後までやり切るのです」
と言っていたその姿勢に心を打たれました。

「小さな本工房」さんの作品は、
文庫本を半分のサイズにしたてたノート
「はん・ぶんこノート」をはじめ、
小倉百人一首や、その暗記帳、
利休百首、文庫本サイズのノートに
小さく、マザーグースの物語を配置した
マザーグースノート」など、
さまざまなものがありました。

そのどれもが、一本の糸でかがられた
手製本の作品。

背表紙のない、この糸かがり製本は、
何より、道具として、本としての使い勝手を
追及した結果の形で、
本を開くと、普段僕らが手にする本よりも
すんなりと、そして平たく開き見やすいのです。

「自分が欲しいものをつくりたくて始めた」
とうのが、そもそものはじまりで、
「何が売れるかはわからない。でも
自分の欲しいと思う物なら自分でつくればいい」
というスタンスで創作をつづける鴫原さん。

ブースに訪れた様々な年齢層のお客さんに
共通したのは、
机に並べられた、4分の1サイズの百人一首の取り札に、
「あ、昔、暗記したなぁ〜」とか、
「今、暗記中なんです」など、
そう言ったことばと微笑みが自然と表れること。

それを見ていて僕は、自分の作品を振り返りもしました。

鴫原さんの作品には、当たり前のことですが、
商品としての需要がある。

僕は、今まで、その需要という社会とのかけ橋を
考えずに「自分が楽しいから」という理由だけで
作品をつくって来たように思いました。

「自分の欲しい物をつくる」

そのスタンスはどこか鴫原さんと似ていますが、
僕の場合は、その「欲しいもの」が極端に偏り、
自己満足の作品、という側面と、
「他人に自分を知って貰うための手段」としての作品、
つまりは承認を求める形の物だったのかもしれないな、と
つくづく考えさせられました。

そこからの脱皮を、今回、
鴫原さんの隣に立ってお店番をし、
学んだように思います。

「自分の好きなものとの距離を取る」

そんなことを考えはじめています。

鴫原さん、ありがとうございました。



ウエペヨ