デジタルzin!ポエジン『宇宙塵』/即興詩人・AI UEOKA

即興詩人・AI UEOKAによるデジタルzin! 雑多な芸術・らくがき日記。

入学式

学長の言葉〜

「小さな人生」からより「大きな人生」へ。

先日、とある友人に物づくりの秘訣をひとつ教えて頂きました。それは、「自分が優れていると思う、または世間一般で優れているとされている作品と、自分の作品を並べて、比較する」というものです。そしてその際大切なことは、「ポイントを絞って比較する」という点にある。

私は個人的に小説を書いております。早速、自分の作品とドストエフスキーの「カラマーゾフの兄弟」を比較、ポイントは「人物描写」に置きました。「カラマーゾフの兄弟」が、世代をまたぐ全体小説的なものであることも大いに関係していると思うのですが、彼の「人物描写」とは、まさに「人物描写を通して人生を描写することであり、そこには環境、文化、歴史、対人関係などが自然と含まれる」というものでした。

私はそこで気付いたのです。まだまだ私には勉強が足りないと。そこで私は私自身の中に、「大学」を創立することにしました。その名も「うえぺよ大学」。略して「P大」。私による私のための大学です。スローガンは「やがて得る自由に向って」。

そしてこの大学を通じて修学したいこと、それは、「小さな人生」を「大きな人生」に変えることです。私の人生は小さい。ドストエフスキーの人物描写を読んで、そう直観しました。その小ささの原因は何か? 自分の持つ世界の狭さ、歴史的知識・認識の浅さ、社会とのつながりの短さ、それらを含め、大きな視点で世界と自分との関係を捉えることの出来ない視野の狭さです。

私はいつか、ドストエフスキーのように、ひとりの人間を「大きな人生」であるという風に描写できるよう、まず、私が大きくならばければならないと感じたのです。どんな生活にある人間も、生きている、存在するということにおいて、大きなつながりの中にいる。どんな生活にある人間も、「大きな人生」としてそれを描くことが出来る。そんな作家になるために、この大学を創立したのです」