デジタルzin!ポエジン『宇宙塵』/即興詩人・AI UEOKA

即興詩人・AI UEOKAによるデジタルzin! 雑多な芸術・らくがき日記。

奥底にある砂丘

先日、焼き物屋の友人の展示会(3人展)にお邪魔した。
そして、一時間近く彼のつくった器を見詰めた。
ひとつの湯飲みが気になり、ずっと見ていた。
僕は、時として、器を絵画的に観ることがある。
その器には、曇り空の果てしない空と
そのもとに砂丘が広がっているように見えた。
一度そう見えると、それ以外のものには見えない。
これは彼の心だと思った。
それを彼に告げると、
「僕の中には砂漠があります」と
内面のことを語ってくれた。
「乾いていて、ひりひりした部分」と
友人はその砂漠のことを描写した。

その後、他の器も眺めるが、
どうにもこうにも、どの器も
景色に見えてしまって仕方がない。
黒い雨が降る夜。
夕日に焦げだした雲の輪郭。

これらは、彼の心象風景が
この世界に滲み出たところで
世界と融合した
景色なのだろうと思った。

そしてそれらの景色は僕の中にもあるのだ。
誰の奥底にもある砂丘のように、
それは果てしない場所でつながっている。