デジタルzin!ポエジン『宇宙塵』/即興詩人・AI UEOKA

即興詩人・AI UEOKAによるデジタルzin! 雑多な芸術・らくがき日記。

『空想ノ楽譜展』とハルくん&名倉くん


『小説・胡蝶の舟展示会 そりゅうしのうた』『絵本・常夏ピアノ展示会』と、以前、二回ほど企画展を開催させて頂いた秩父のギャラリー『ツグミ工芸舎・百果店ひぐらしストア』さんにて、ツグミさん家族の次男、ハルくん(小学六年生)が、展示会&演奏会を行いました。


『空想ノ楽譜展』


この展示会は、ハルくんの頭の中にある様々な形をした楽譜を展示したもので、どの楽譜も、リズミカルに形状が配置され、特殊なメロディーを奏でていました。

(↑この楽譜には、ある法則にしたがった秘密が隠されているとのこと。探してみてください)
それは、子供の頃にずっと、頭の中で曲が流れていたことを思い出させてくれたり、『音楽』という言葉が表す本質、『音を楽しむ』というよりは、『音が楽しむ』という感触を受けました。
大人になると、僕らの『人生』という名の『音楽』はまさに前者であり、『音を楽しむ』という、どこか距離を置いた受け身的なスタンスで、世界と対峙しはじめるけれど、ハルくんや、子供の頃の僕たちは、『音』それ自体にぴったりと同化しながら、その瞬間、瞬間をともに『楽しんでいる』。
そんなことを、ハルくんの楽譜や音符を浴び、気付かされました。

会場には、『手創り市』主催で、『常夏ピアノ・展示会』の展示も担当してくれた、名倉くんも来ていて、終始、どうしようもなく『くだらない』=『ハイセンス』という式が成立したギャグを連発し、ハルくんを交え笑い合っていました。
ハルくんに僕の詩集『うちゅうのうた』を渡すと、「400円! 400円!」と笑いはじめ、それを見た僕らが「ハルくんならこの詩集、いくらで買う?」という質問をしました。するとハルくんは、すかさず「平和円」と答えてくれました。確かに、いまの僕の生活のほとんどは、この『平和円』で回っていますから、その答えは、僕にとって本質的な響きを帯びていました。

夜六時からは、ハルくんの楽譜から曲をイメージした二人の音楽家の方が、時折ハルくんも交え演奏するという、演奏会も行われました。
僕がハルくんの楽譜を観て、想像したり、聴こえて来たかのように感じた音楽とは、当たり前のように大きな差異がありましたが、後半の曲になるにつれ、音に子供的な余白が感じられ、そこに自分の中の子供を重ねることもでき、ワクワクしながら音を追い掛けました。


帰りは名倉くんと共に、二時間の電車旅。
僕が、「ハルくんの中で鳴ってる音楽と、音楽家の二人にイメージされた曲は、ハルくんにとって近かったのかな? どう思ったかな?」と名倉くんに聞くと「そんなこと、ハルくん考えるかね?」と、まるで子供のような鋭い視点の回答が得られ、ああ、名倉くんは相変わらずだな、と嬉しくもなりました。



植岡勇二


ツグミ工芸舎・百果店ひぐらしストア』
https://www.facebook.com/higurashistore/