デジタルzin!ポエジン『宇宙塵』/即興詩人・AI UEOKA

即興詩人・AI UEOKAによるデジタルzin! 雑多な芸術・らくがき日記。

馬野ミキさんと僕

6年前、僕のバンド・古代歌謡がまだ即興をやっていない頃、僕らはSSWS(新宿スポークンワーズスラム)という言葉のバトル大会に出場し、一回戦で猫道さんという方に大差で負けた。
しかしその時、僕らのパフォーマンスに、唯一の一票を入れてくれた審査員の方がいた。それは馬野ミキさんという方で、以前、SSWSで優勝したことのある猛者だった。(ミキさんは大会開始の主催者側からの挨拶の時に、司会からマイクをかっさらい、自身の詩を朗読するという暴挙をやってのけた。僕には絶対できないと思い、すげーなと思った)
そして、ミキさんは大会の休憩時間に僕らのところにやってくると、僕の詩の何行かを書きとめた審査用紙を僕らに見せながら、ひどく褒めてくれたのだ。その行動力にも驚かされた。

そんな出会いがあったが、僕とミキさんはその後、連絡を取り合うこともなく6年の歳月が過ぎた。

ミキさんは『詩と惑星』というWEBマガジンを蛇口さんという詩人さんとやっていて、そのサイトはいつも読ませて貰っていた。
赤裸々な日記、その姿勢は、いつ読んでもすごいなと僕を唸らせた。

そのミキさんが先月、『ポエトリースラムジャパン』という、言葉と声のバトルトーナメントの東京大会に出場。そこに至るまでの日記がすごく良くて、僕は自分のことのように、ミキさんを遠くからだけど応援した。ミキさんは半ば怯えながらも、大会に臨み、見事、全国大会への出場権を手に入れた。嬉しかった。
全国大会では負けてしまったけど、その生き様に僕は心に火を灯された思いだった。そして書けなかった詩が久々に書け、そこから詩集二冊分の原稿をまとめ、出版社へも持ち込み、今に至る。
この感謝を伝えたくて、僕は先日、ミキさんとちひろさんという方が主催するオープンマイクイベントにお邪魔し、実に6年ぶりにミキさんと再会、オープンマイクにも出て来た。
ミキさんは相変わらずの高い声と、濡れた黒目をしていた。そして繊細で、正直だった。

その日のイベントも楽しかった。人が人の心に動かされる。シンプルなその在りようを再確認できた。ミキさんらしいイベントだと思った。


植岡ペヨー太