デジタルzin!ポエジン『宇宙塵』/即興詩人・AI UEOKA

即興詩人・AI UEOKAによるデジタルzin! 雑多な芸術・らくがき日記。

読子さんたちのもくもくきかく


先日の連休に秩父にて行われていたイベント、
「秩父の森のおもちゃ美術館」に遊びに行きました!

このイベントとの縁、それは、手創り市の「アトリエ訪問」にて
取材をさせて頂いた際に知り合った、秩父在住の作家さん、
「ツグミ工芸舎」さんとのつながりから。
ツグミ工芸舎さんは、山々が雄々しく立つ秩父という環境の中で、
主に木を素材にして創作に勤しんでいます。
木は木と言っても、自分たちの生活圏・身近にある
古材や、間伐材、生きている樹などを素材にしています。
もちろん、木だけでなく、日常で出会う、「古いものたち」も
材料になります。
そしておもに、木の小物などをつくられているのです。

ツグミさんは、ご夫婦で活動を展開しているのですが、
その奥さんである由美子さん(僕は読子・黄泉子さんと呼んでいる)が
声掛けの中心になってはじめた企画、それが今回の
秩父の森のおもちゃ美術館」に発展・開催されたという訳です。

企画の段階で、読子さんには色々とお話しを伺う機会があり、
彼女はその際、こんなことを言っていました。

「自分たちの活動を通して接する人やそのリアクションが
ある程度見えるというか、予想出来る範囲であることは
あまり好ましく思わない。むしろ、普段接点のない方々と
イベントを通じてつながっていけるような、
そんな開けたものでありたいし、
そこから互いに影響を与え合えたら
さらに広がれると思うんです。
そんなスタンスを大切にしたい」

実際訪れた会場は、小さな子供たちを中心とした
様々な年齢層の方たちが訪れていて、
そこに置かれた300種はあるという木のおもちゃを前に、
わいわいという熱気を上げながら、
楽しそうにはしゃいでいたのでした。

僕は、秩父の様々な種類の木で出来た木琴から
遊びを開始!

この木琴の鍵盤は、ひとつひとつが取れるようになっていて、
「自分で音階が変えられます」という説明の通り、
それぞれの木が持つ音色・音の高さを耳にしながら、
自由に鍵盤を入れ替えながら、即興演奏を楽しむというもの。
鍵盤となる木を叩くと、それぞれ、
きれいな木の音がして、
「あぁ、そういえば昔、枝と枝で音を立てて
遊んでたな〜」とか、
そんなことを思い出したりもしたのでした。

この「秩父の森のおもちゃ美術館」の企画は、
「赤ちゃんからはじめる木のある暮らし」
というキャッチコピーがうたうように、
これら木のおもちゃを通じて、
そのおもちゃの素材となる木に触れ、楽しみ、
そこから、素材である木と向き合っていく、
さらにその木を育てる、森や山を身近なものとして
感覚的に自然を取り戻していく
きっかけづくりだと僕は感じたのですが、
僕もこの木琴を通じて、自然の中で遊んでいた
幼少の頃を思い出すという体験を得ました。

そもそも、この木のおもちゃたちの周りには、
おもちゃの遊び方の説明書きのようなものは
当たり前のようになく、まずみんな、
「これはどんなおもちゃだろう?」という
エスチョンから入るんです。

で、木のおもちゃを観察し、触り、
そのおもちゃの形や動きそのものに刻まれた、
おもちゃとしてのゲーム性を発見していくんです。

読子さんはこうも言いました。

「「このおもちゃ、どうやって遊ぶんだろう?」
って、会場の人たちの間にも会話が生まれる思うんですよ。
そんなコミュニケーションのきっかけも、
ここにはちらばってると思う」

確かに! 同感です。

そもそもおもちゃってものは、
そのおもちゃのもつ、主となる遊び方だけで
完結するものではないと思うんです。

おもちゃというインターフェイス(形としての入口)があって、
あ、これは、こういう遊び方も出来るな!
とか、そうやって、遊びを自分なりに発見することも
遊ぶことの醍醐味。
そういう、たくさんの応用が利く自由度を持った
おもちゃが僕は大好きで、
そもそも、その最強のおもちゃが、
子供の頃に一番遊んだ、
林や森や用水路や田んぼや川や海だったと思うんです。
そしてそこが大人になるにつれて、
街や、部屋や、学校や、バンドや、女の子とか、
そういうものが加わっていった。

でもその遊び方の感性の根本を鍛えてくれたのは、
僕の場合、やはり自然であり、
用水路でザリガニを取る際に、
いかに五感を研ぎ澄ますか、とか、
そういう感覚が
僕のいまの想像(創造)力を
培ってくれたんだと思うんです。

そんな原体験的な感覚に出会える、
気付き多きイベントでした。
読子さん、お誘いありがとうございました!


ウエペヨ