デジタルzin!ポエジン『宇宙塵』/即興詩人・AI UEOKA

即興詩人・AI UEOKAによるデジタルzin! 雑多な芸術・らくがき日記。

心には時間の概念がない

昨日の夜、国立に、ぷりんちゃんが遊びに来てくれた。
ぷりんちゃんは以前勤めていた某コールセンターの同僚だ。
彼の言葉では、「仕事中のペヨー太さんの死んだ鯖のような目は
職場でもダントツでしたよ。そして、仕事をあがった後の
輝いた目とのギャップがキュートでした」とのこと。
懐かしい。
そして僕らは、国立駅前のベンチで、ビールを飲みながら
色々と語り合った。
「ぷりんちゃんにとって、この社会や現実はどんな風に
映るんですか?」
と、僕が聞くと、
「ファックですね」と淡々と答える。
それを皮切りに、二人で、ファックな現実社会に
ついて意見を交換し、
「でも、ファックじゃない部分もちゃんとある」と
身近な現実の良さを再確認し合った。
話は、様々に流展して、僕が、
「今までに見た美しいものってなんですか?」という
問かけをし、ぷりんちゃんは、下田近くにある
湧き水が沸く水源の話をしてくれた。
「そこは、富士山の雪解け水が作り出す、
500メートルくらいの川の源なんです。
で、その水源の表面は透明なんですけど、
水源が深いものですから、底の方は
青いんですね。その青の色は、写真で撮っても
伝わらないくらい複雑な不思議な青をしてるんです」

その後、震災の話になり、互いに、
震災について、今の現状について思うところを語り合った。
僕は「震災後、自分の今までに書いていた小説、
つまりフィクションが力を失ったような気がしてならなかった。
僕の書くフィクションなんて、自分の周りにある
小さな穏やかな日々の贅沢品なのではないか? と
思ってしまった。
それに気付き、色々と書いてみたけど、
今は、筆が行ったり来たりしている」
そんなことを打ち明けた後、ぷりんちゃんは、ぼそりと
「焦ることはないですよ。焦ることはない」
と、小さく呟いてくれた。
その時、その言葉が、肌を通して
心に染み入るのが明確にわかった。
素の言葉の凄味とでも言おうか。

先日、月日工藝さんにアトリエ訪問をしたとき、
僕は心の話をした。
心には時間の概念がない。だから、心の中にある記憶は
永遠なのではないか? と。
例えそれが、今、この現実社会から姿を消した風景
だとしても。

僕は、ぷりんちゃんの言葉を、心の中に、確実に
刻み付けた。

ぷりんちゃん、ありがとうございます。