デジタルzin!ポエジン『宇宙塵』/即興詩人・AI UEOKA

即興詩人・AI UEOKAによるデジタルzin! 雑多な芸術・らくがき日記。

リラックスチャンネルその2

前回のブログにも書きましたが
今、リラックスすることの大切さを
ひしひしと感じています。
あらゆる人が、あらゆることで
ストレス・プレッシャーを感じている。
そのストレスを、リラックスすることに
よって、少しでも解せたらと思い、
今日は、お話をひとつ掲載させて貰いました。

「常夏ピアノ」という作品で、
これは5年前、奈良でお菓子屋さん
「菓子美呆」をやっていた、のりさんの
依頼で創った紙芝居のお話です。

http://otegaruhp.com/mihou/html/_TOP/index.html
(菓子美呆)(現在は長崎でお店をやっています)

「常夏ピアノ」とは、のりさんたちの創る
クッキーの種類のひとつです。

それにお話をつけました。

読んで頂き、少しでも
みなさんの力が抜けたら幸いです。




「常夏ピアノ」


今日から夏休み。
幼稚園の終業式を終えた 
チヨコちゃんとコムギくんは
帰り道にある海に遊びに来ました。


「夏休み一番のりー!」
コムギくんがはしゃぎます。
「ここはまるで常夏の国ね」
チヨコちゃんが得意がって言いました。
「常夏? 常夏ってなあに?」
コムギくんが聞くと
「一年中夏ばっかりって意味よ。
コムギ、そんなことも知らないの?」
チヨコちゃんが えばって言いました。
そんなえばりんぼうのチヨコちゃんを
コムギくんは大好きなのでした。


二人は浜辺に 
黒い革靴を脱いで、
波打ち際に近づきました。
すると
「うわ〜大きな波が来た!」
白い波は、あっという間に 
二人の靴のところまで押し寄せて来ました。
二人の靴はびしょ濡れです。

それを見てチヨコちゃんが、
「ねえ、コムギ、まるでピアノみたい」
といいました。

黒い靴は黒い鍵盤、
押し寄せる白い波は 白い鍵盤、
それはまるでピアノのようでした。

「わたしが弾いてあげる!」
そういうとチヨコちゃんが 
スキップで
白い波の上や、黒い靴の上を
ばしゃばしゃと飛び跳ねました。
すると、水平線の向こうから、
きれいなピアノの音が
聞こえたような気がしました。

「コムギも一緒に弾こうよ」
そういうとチヨコちゃんは、
コムギくんと手をつなぎました。
そうしてふたりは、
波のピアノの上で 
スキップを繰り返しました。
水平線の向こうから、
今度ははっきりと、
きれいなピアノの音が聞こえました。
海は、日差しをうけて、
きらきらと輝いていました。

「常夏ピアノだね」
コムギくんがいいました。

二人の夏休みは、こうして始まりました。




植岡ペヨー太 mikromoai@gmail.com