デジタルzin!ポエジン『宇宙塵』/即興詩人・AI UEOKA

即興詩人・AI UEOKAによるデジタルzin! 雑多な芸術・らくがき日記。

詩 「雨と鍵っ子」


AIUEOKA&小森俊明 『身体の雨:心の鍵盤』即興ライブ:「沈黙」と「無限」@東京創造芸術祭 2019

 

 

「雨と鍵っ子」

 

 

 

雨が降れば蝶は、

その羽根を

カーテンにかえて、

大空(かぜ)の記憶を

抱きしめながら、

もう一度、

さなぎに返る。

 

  


六人兄弟は

五人総出で、

シングルマザーに、
バザーに

連れて行かれる。

 

次男坊の『鍵っ子』は、

熱が出て、

ひとり、

留守番の雨。

 

白いカーテン(あまがさ)に

くるまりながら、

誰にも教えたことのない、

『雨くん』と、

話している。 

 

雨くん、

ゲーム好き?

 

オレ実はさぁ、

将来結婚してえよ。

ふふふ。

 

父さんと

母さん見てたら、

絶対、

結婚なんて、

無理だって、

五歳にして、

気づいたけど……

結婚してえよ。

 

絶対無理なゲーム、

クリアするの、

超好きだから……

 

雨くん、

世界中にさぁ、

「穴」……

開けといて。

 

オレ、『鍵っ子』だから、

『鍵』……

無限につくれるから、

雨で、

『鍵穴』、

つくって。

 

いろんな場所に、

『鍵』埋めに行くから、

あの子に

至る、

「道標」、

雨で、

「道標の穴」、

つくっといて。

 

鍵を、

いっこいっこ、

さしながら、

あの子のもとに、

進んでく。

 

鍵を、

いっこいっこ、

さしながら、

 

あの子のものに、

なっていく。

 

雨くん、

 

雨くん、

 

世界中に、

 

鍵をさすから、

 

 

あの子に、

 

 

会わせて。

 

 

 

 

 

 

この作品は、以前コラボした芸術家・小森俊明さんとの『身体の雨:心の鍵盤』でのライブ即興朗読を、テープ起こしし、整えたものです。

今回、この詩集に掲載しました。

1月12日(日)まで、先行電子書籍・初売りキャンペーン。

880円(税込)→550円(税込)にて。

読んで貰えたら幸いです。

 

 

AIUEOKA