デジタルzin!ポエジン『宇宙塵』/即興詩人・AI UEOKA

即興詩人・AI UEOKAによるデジタルzin! 雑多な芸術・らくがき日記。

ノルウェイの森

38歳の誕生日、南がDVD「ノルウェイの森」をくれた。
それをようやく今日見終わった。
(南、遅くなってごめんね!)

去年だったか? 映画館で観た時と
感じ方が少し違っていた。

まず、映画館で観た時は、原作との比較、
照らし合わせのようなものを、
半ば意識的に行いながら観ていた気がする。
でもこれって、原作を読んでいて
この映画を観る人の大部分がすることだろうなぁ、
とも思う。

映画を観終わった後、何人かと
感想の交換をしたけど、
みんな原作との比較をしてたっけ。

今回、DVDで観た時は、
原作のことはすっかり置いておいて、
純粋に映画をひとつの作品として
観る事が出来た。

濃密な映像美や、役者さんの撮られ方、
とても良いと思った。

映像の濃密な部分は、時々表れる
荒涼とした自然風景、雪の平原や、
草原などで緩急がついていたと思うし。

直子からの手紙を貰い、螺旋階段を
登っていくワタナベを映したまま、
次に、森が回っているシーンに切り替わる所は、
見事に、
ふたつの異なる世界を渡る感覚を描写していたし。

直子の療養所から帰ったワタナベが
水着姿で、プールの岩壁の前にいるシーンや、
その続きとして、緑と対話している時、
ワタナベが焦点の合わない目をしている所など、
とても印象に残った。

そして最後、直子が死んだ後に、
ワタナベのナレーションで、
「愛したものの死は何物によっても癒されない。
悲しみ抜き、その悲しみから
何か学び取ることしか出来ない」
(だったかな?)
的な言葉があったのだけど、
多分、20歳頃の僕なら、
この言葉を心に焼き付けようと
必死になったと思うけど、
今は、色んな創作者の言葉に対する依存心が
あまりなくなって来たので、
距離を置いてその言葉について考えている自分がいた。