デジタルzin!ポエジン『宇宙塵』/即興詩人・AI UEOKA

即興詩人・AI UEOKAによるデジタルzin! 雑多な芸術・らくがき日記。

オープニングライブ

中板橋、露地カフェ最後の展示会「夕顔」。
そのオープニングライブに行ってきました。

出演したのは、二組のユニット。

一組目は、今回の展示会で
露地カフェの女店主藤間さんの創り出す
季節の料理を、
紙媒体の作品に変えて展示した
山口洋佑さんと、
その友人久保田さんのユニット
「jutomani(フトマニ)」。

そして二組目は、
今回の「夕顔」のサウンドドラックを
製作した、ユキシュンスケさんと
その友人ケイゴさんのユニット「ユニ」。

「jutomani(フトマニ)」は、
幻想的な靄がかかったかのような音色を奏でる
二本のエレキギターの上に、
山口さんの甘い裏声が
かすれた雲のように重なるというスタイル。

引き込まれると、どこか、
この世界のすべての季節を含みつつ、
この世界のすべての季節に属さないような
そんな「向こう側」的な世界に
心を運んでくれました。

そんな風に音楽を異界への入口に変える
「jutomani(フトマニ)」の世界観。
現実と非現実、
こちら側の世界とあちら側の世界、
意識と無意識、そのつながりの中で
生きることの不思議を感じました。

一方「ユニ」は、
二本のアコースティックギターや、
ピアニカ、鉄琴の上に、
さらにディレイをかけ、
フレーズを重ねていくというような
そんなスタイルを主にしたライブでした。

ライブの一曲目に演奏された曲は、
偶然にも、僕と藤間さんが今回書いた
「露地カフェ」という小説のワンシーンを
想わせる曲でした。

以下、小説から抜粋。

*************

外では、陰り始めた空が雨を降らし始めた。
男は料理が届く間、雨音と店の中に
小さく響く音楽に耳を澄ます。
 
その音楽は、音と音の間、
二つのアコースティックギターの旋律の間に、
広い空白――音の隙間――があり、
その隙間に、雨音が染み込む形で
自然と調和を果たしていた。

耳を澄ますと、身体の中で雨音が
鳴っているかのような気がした。
音楽と雨音、そしてそれを
静かに響かせるこの店自体に、
男は好感を抱いた。

**************

「ユニ」のライブを聴いていて強く感じたのは、
(すごくシンプルな言葉になりますが)
ユキくんの音楽には人を温める力が
ある、ということでした。
これは僕個人的な主観的体験ですが、
最近、心の一部が冷えていて、
どこか身体の芯から温まらない
感覚を覚えていたのですが、
「ユニ」のライブを聴いて
その氷がゆっくりと溶けて行くのが
ありありとわかりました。

そんな二組のライブ。
とても思い出深い夜となりました。


http://www18.ocn.ne.jp/~rojicafe/

(露地カフェ)

http://www18.ocn.ne.jp/%7Erojicafe/image/yugao_invitation2.pdf

(夕顔展)