デジタルzin!ポエジン『宇宙塵』/即興詩人・AI UEOKA

即興詩人・AI UEOKAによるデジタルzin! 雑多な芸術・らくがき日記。

夕顔と詩と現状報告

夕日の香りが世界になじみ終えた頃
誰かが何かを思い出すように
ふいに降り出す 静かな雨がある。

その雨音と、このカフェに流れる小さな音楽が
あまりにも調和し過ぎていて、

この雨は本当に降っているのか?
もしかしたらこの雨は、
誰かの記憶の中に降る雨ではないのか? と
ふいに僕らは思うのだ。

すっぽりと 誰かの心の穴に
包まれているような そんな気がして

そのくらい、世界と僕らは
深くつながり過ぎていたから。

やがて雨が上がり、この街が夜に変わる頃、
ベランダの虎縞の猫が小さく鳴いた。

その鳴き声は
季節を忘れた風鈴と混ざり合い
遠く空の果てに抜けた。

路地裏を歩く少女は
雨上がりの路地に
花の香りを思い出していた。

そして少女は、明日の夕日の深さを
推し量るように
瞼の内側に映る物語を
ゆっくりとなぞりはじめた。


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露地カフェ最後の展示会、藤間夕香さんの「夕顔」に、
二つの小説をひとつにとじて製本したものを
置かせて頂きます。

ひとつめの小説は「夕深(ゆふか)」。
これは美呆展の際に誕生したものです。

そして二つ目は「露地カフェ」。
これは最近書き下ろした物です。

この二つの小説は僕と藤間さんのコラボレーションによって
紡ぎ出されています。

その小説の内容に直接触れたい気持ちは、ぐっとこらえ、
上記の詩にイメージを込めました。
そこから漂う香りから、これら二つの小説を
想って頂けたら幸いです。
そして直接、夕顔展に足を運び、
製本された小説を手に取って頂けたらと
切に願います。

展示会は11月22日(日)〜12月20日(日)までです。

会場には山口洋佑くんが描いた、
藤間さんの「季節の料理」の原画の展示と、
ユキ・シュンスケくんが夕顔展のために創った
サウンドトラックが流れています。
(ユキくんのサントラは販売も行っています)

みなさんのご来場を心よりお待ちしています。


と、なんだか心静かな告知になりましたね。
夕顔展や、そのために書き下ろした小説、
また夕顔展を最後に幕を閉じる露地カフェを想うと、
何か静かな、神妙な気持ちになってしまうからだと思います。

しかし反面、藤間さんとの
小説の制作は鼻血が出る程ハードで(笑)
感覚を常に研ぎ澄ますことが求められるほど
集中力の高いものでした。
毎回大変勉強になります。藤間さんありがとう!

今は、まめちゃんというデザイナーさんに
紙面のデザインをして頂いています。
(まめちゃんは三年目の美呆展のサントラ、
そのジャケットのデザインを担当していた切れ者です)

それが終われば、製本に入る、という感じです。
完成までまだまだ気が抜けませんっ!

http://www18.ocn.ne.jp/~rojicafe/

(露地カフェ)

http://www18.ocn.ne.jp/%7Erojicafe/image/yugao_invitation2.pdf

(夕顔展)