はるか かたなで まわる うた:ステージ2・みえないつるぎ編  


ここからはコアに。「本当にやりたいことは何なの?」って話を。

それはやっぱり、「音楽で物語をつくること」。

音楽って、何かしらの楽器(声帯・身体など)使ったりして、意識的に時間に形を与えてあげて、それをコントロールすることなんだと考えていて。

で、そもそも音楽が大好きだったし、同時に物語が大好きだったから、20歳の時、言葉を楽器にして『詩』をはじめたのだけど。


つまり、メインプログラムとしてシステムの基盤に『詩』を置き、そこから物語としての音楽を立ち上げ、それをコントロールすることができたら、この『宇宙』とか『世界』とかで、もっと自由に遊べるのではないか?

って、すごく考えていて。

で、箱庭としてそのプログラムを試すため・つまり「ミクロコスモス:小さな宇宙」をつくるために、『ゲームクリエター』の道に飛び込むことに踏み切る。


その頃、宣伝会議の紹介で『ピタゴラスイッチ』とかをやってる佐藤雅彦さんの作った『IQ』というゲームの制作発表会に行く。

運よく佐藤さんとは直接話せ、このゲームのアイディアは、ある日突然、映像世界に入って、そこで体験した世界を、このIQにしたという話をしてくださった。
他にもこういった体験が何回かあるようで、すべて、何月何日の何時ごろってことまで明確に記憶しているあたりが、理系の人だし、なるほど、共感できた。

で、今までにつくった、これらいくつかの作品を「ドラゴンクエスト7・フリーシナリオアシスタント募集」に添付資料として勝手に付けて、一次審査を通過。

はぐれメタルを主人公にした短編小説『はぐれのさとり』もつけた(ドラクエ6の裏ボス『ダークドレアム』が『はぐれのさとり』という『はぐれメタル』に転職するための本を落とすのだけど、実は、そのダークドレアム自体がはぐれメタルだった!みたいな、時間の概念を超えてく話)

課題であったゲームのレビューでは、『IQ』についても書いた。数学を解くことの快楽「数楽」を刺激するゲームだと。
あと、ドラクエ作者・堀井雄二作の『ポートピア連続殺人事件』のことも。犯人を探すという手法をとりながら、実は犯人の心をなぞっているというその仕組みに、ラスト絶句し、既成概念としての善悪について波紋が生まれた、というようなことを書いた。

二次試験に結んだ時に提出した作品。作者・堀井雄二さんのコピー用紙50枚位の手本が送られてきて、それを参考にしながら村をひとつ作り、そこでイベント発生させるという課題を提出。

森に囲まれた村のその奥に、広大な砂丘があり、そこで老人が、毎日砂に龍の地上絵を書いている。

実はそれは、魔王から世界を救ったことによって、のちに魔王に殺されてしまった奥さんと娘に対する鎮魂の儀式であり、それをつきとめることで主人公たちは、『みえないつるぎ』という魔王を倒すためのアイテムを得る。

『みえないつるぎ』は、イメージを具現化する素粒子でできていて、勇者のイメージによってその形や威力を変える、ただの鞘である、みたいな。

そしてイベントの最後は、砂丘の向こう側にある波打ち際で、旅人がふいに口ずさむ詩の朗読を聞いて、静かに終わる。

で、ドラクエ7の審査に落ち、そもそもなんでドラクエシナリオライターになりたかったのか? を思い出す。
それは、一番好きなドラクエ6の感想文を課題で提出した際に書いていたこと。

ドラクエ6は、レベル10あたりで、突然、王様から船をもらう。
でも、どこに行け? とも、誰に会えとも、誰も何を言ってくれない。

で、ドットで描かれたその世界が、ものすごく広大に感じられ、不安だし、怖かったけど、同時に自由を感じた。
その場面が一番好きだったと、課題感想文にも記載。

そうか、オレは、海に出たんだ。


行くべ。


自分のオリジナル・シナリオ企画を一気に書き込んだ。

このメモ書きは、エニックスから送り返された二次試験提出課題の、最後のページの裏に書かれたメモ。



ステージ3へづづく〜